ストレイテナーのおすすめアルバム「LINEAR」を徹底特集

ストレイテナー

編集部
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こんにちは、Monosiri編集部です。

今回はストレイテナーの中でとくにおすすめするメジャー4thアルバム「LINEAR」をピックアップしてみました。

LINEAR は今までの作品にはない試みが詰まった、まさに新機軸と呼ぶにふさわしい作品となっています。ゴリゴリのバンドサウンドを前面に押し出したそれまでの作品と違い、今作は打ち込みドラムやピアノなどを大胆に導入し、楽曲に深みや広がりを与えています。

この作品の魅力は楽曲の幅の広さと、それでいながら散漫になることのない一貫した世界観、そして、アルバム全体を通した流れの巧みさにあります。

曲順がとにかく秀逸で、特に「CLARITY」で少しずつ高揚しながら2曲目の「TRAIN」で一気に突っ走っていく冒頭の展開は鳥肌ものです。また、随所にダウナーな曲とアッパーな曲をバランスよく持ってくることで、中だるみせず最後まで一気に聴けます。

楽曲紹介

「LINEAR」に収録されているのは、以下の10曲になります。

  1. CLARITY
  2. TRAIN
  3. SIX DAY WONDER
  4. BIRTHDAY
  5. GHOST OF CHRISTMAS PAST
  6. BERSERKER TUNE
  7. REST
  8. LIVES
  9. AFTER THE CALM
  10. MARCH

それでは、それぞれの楽曲についてご紹介していきますね。

CLARITY

打ち込みのドラムを大胆にフューチャーしたオープニングナンバーです。アコースティックなイントロから始まり、打ち込みドラムが少しずつ入ってきて、曲後半にかけて少しずつ盛り上がっていく曲展開になっています。

いわゆる日本のポップスでは「メロ→サビ→間奏で少し落として静かなメロ」という流れが定石ですが、洋楽にはメロサビを繰り返す曲だけでなく、曲全体を通して起承転結を作る曲も数多くあります。

この曲は、そんな洋楽ロックのエッセンスを取り入れたのでしょう。曲全体を通して一つの大きな波があり、それがこの楽曲を最高にドラマチックにしています。

また、歌詞も抽象的ながら人間心理の本質を突いたような、耳の痛い内容となっています。私たちは普段、自分たちの見てきた物事のみを物差しにして、あれは正しいこれは間違っているとジャッジします。

しかし、世の中にはまだまだ私たちの知らない世界が広がっていて、自分基準で正しいと信じこんでいたものが、違う世界から見たら嘘だらけなんてことも往々にしてあるのです。「自分の目に見えるものだけがすべてではない」という、私たちが生きる上で大切なことを、この曲はそっと語り掛けるように教えてくれます。

TRAIN

この曲はアルバムの中で最もテンションが高く、高速のドラムビートに乗っかって畳みかけるように歌われるボーカルが聴いていてとても気持ちいいです。この曲の特徴は、なんといってもゴツゴツとした武骨で荒っぽいベースでしょう。

ベースというと、音楽をやったことのない人にとっては鳴っているんだか鳴っていないんだかよくわからないパートの代名詞ですが、この曲のベースは、バンド未経験者でも「あ、ベースだ」となるぐらいベースが印象的です。そんな力強いベースが楽曲をグイグイ引っ張り、楽曲の持つ疾走感をさらに高め、加速させるのに一役買っています。

ちなみにこの曲は、以前ストレイテナーがミュージックステーションに出演した時に披露された曲で、ゴリゴリしたベースと、ドラムが壊れるのではないかと心配になるほどに全力でしばき倒すドラムに、他の出演者が度肝を抜かれていました。最高にかっこよかったです。

SIX DAY WONDER

透き通る朝の光のような清涼感あふれるピアノリフとアコースティックなギターリフが印象的なミディアムナンバーです。曲の世界観にピッタリ合った幻想的で清々しいミュージックビデオも必見です。

1曲目2曲目と、変則的だったり派手だったりする曲が続いた後で、3曲目にこのようなきれいな歌メロの曲が来ることで、空気感がガラッと変わります。

この曲は、とにかく歌メロのきれいさ重視なので、楽器は全体的に主張しません。特にドラムとベースは、1曲通してフィルイン(つなぎのパフォーマンス)らしいフィルインをほとんどしません。

余計な手技をあえて封印し、必要最低限に抑えることで、楽曲の持つ流麗な世界観が最大限に引き出されているのです。ただ前面に出るだけでなく、引くところは引く姿勢に、成熟した大人の余裕を感じます。

BIRTHDAY

イントロのドラムからいきなりテンションMAXです。ライブではこのドラムが鳴った瞬間に喝采が起きます。この曲はイントロ(間奏)~メロにかけて、ドラムがスリップビートになっています。

スリップビートとは、強拍(たいていはスネア)の位置を、一般的な2拍4拍ではなく、あえて8分もしくは16分前後にずらすことによって、リズムに変化を与える技法です。

この曲ではこの技法を用いることによって、一般的な8ビートでは出せない独特なうねりを出すことに成功しています。

ドラムだけでなくベースもテンションが高く、2番Aメロ直前の間奏では、ギターでなくなんとベースがメロディラインを取って演奏しています。ストレイテナーはベースが目立つ曲が多いのですが、この曲ではこれでもかというくらいベースを鳴かせまくっています。

よくボーカルのホリエアツシは自身を日本一目立たないフロントマンと自虐していますが、これだけリズム隊の主張が強い曲を聴くと、何となく頷けます。

GHOST OF CHRISTMAS PAST

澄んだ冬の空気によく似合ハートウォーミングな曲です。わくわくするような跳ねたビートやタンバリンの音色がいかにもクリスマスらしく、思わず小躍りしたくなります。クリスマスパーティで流したら楽しそうですね。

しかし、ただ楽しいだけでなく、ストレイテナーらしいクールさも併せ持っているのが、この曲のミソです。特にサビは、一般的な曲展開より各フレーズの終わりが1小節分短くなっています。それにより聴いていて「あれっ?」と肩透かしを食らうような違和感を覚えます。

そして、この違和感が曲を印象付け、ただ楽しいだけの曲として聴き流されることのないクールなロックナンバーたらしめているのです。ちなみにこの曲のタンバリンは、たった1回のレコーディングで崩れてしまったそうです。

BERSERKER TUNE

今やライブでやらない日はないくらいのライブ定番曲になっている曲です。この曲をライブでやると必ず大盛り上がりします。

しかし、ライブで披露される同曲は、実はこのアルバムに収録されているのとは違う、「STOUT(セルフカバーアルバム)」に収録されているバージョンの方なのです。

高速16ビートでザクザク刻む後発バージョンも充分かっこいいのですが、この「LINEAR」収録のバージョンの方がかっこいいというファンもいるくらい、根強い人気を誇るバージョンなのです。

ライブでやらないのがもったいないくらいです。気怠いギターリフと適度に湿り気のあるボーカルがマッチしていて、UKロックバンドのOASISやBLURにも近い空気感をまとっています。

確かにライブ映えを考えたら後発バージョンということになるのでしょうが、洋楽ロック好きにはむしろLINEARバージョンの方が受けがいいのではないでしょうか。

ちなみに歌詞はというと、「TITLE」収録の「KILLER TUNE」の続編で、「KILLER TUNE」がアルファベットA~Kまでで、そこからZまで行ってABに戻ってくるあいうえお作文方式になっています。ぜひ歌詞カードで確かめましょう。

REST

全英語詞の曲です。マイナーコードを多用した不穏なリフが印象的です。このひんやりとした金属的な空気感は、どこかRADIOHEADに近いものを感じさせますが、以前インタビューで、ボーカルのホリエアツシが、一番尊敬するミュージシャントム・ヨークであると語っていたことから、やはりその片鱗が出ていたのだなあと感じました。

アルバム概要でも述べたように、それまでは勢いで押し通す作品が多かったのが、今作ではこのような実験的な曲が随所に挟まっているので、途中で聴き疲れることなく聴けます。

この作品の中で好きな曲を挙げるとするならば、まず上位には挙がらないような曲ではありますが、こういう曲があるからこそキラーチューンがより引き立つのです。全曲キラーチューンだと疲れますし、そいうった意味でこの曲はこの位置に必要だったのでしょう。まさに「REST(休符・休息)」です。

LIVES

頭がおかしくなりそうなほど執拗に繰り返される単調なリフに、ぼそぼそと呟くようなボーカルが乗る不思議な曲です。歌詞も、夢の中で他人の人生を覗き見しているような内容で、何が夢で何が現実か、聴いていて頭がおかしくなりそうになります。

この曲に限らず、ストレイテナーの曲は「自分の目で見ている世界の外側にある世界」に目が向いている歌詞が多いです。「CLARITY」もそうですし、このアルバムの曲ではないですが「シーグラス」もそうです。

自分の世界と他人の世界、それぞれ異なる人生観があり、生活があります。だからこそ「LIFE」ではなく、複数形の「LIVES」なのでしょう。また、この曲が単調な日常を表現していることを考えると、この淡々とした曲調が、ドラマチックではないそれぞれの生活の在り方を表すのに適しているのではないかと思えます。

AFTER THE CALM

落ち着いた曲が続き「そろそろアガる曲が欲しいな」という絶妙なタイミングでのアッパーチューンで、まさに「AFTER THE CALM(静けさの後)」というタイトルがピッタリ合った曲です。この曲の面白さは、なんといってもイントロが裏拍から入ることでリスナーを戸惑わせる仕掛けにあると思います。

有名どころだとDragon Ashの「Deep Impact」やASIAN KUNG-FU GENERATIONの「ブラックアウト」、はたまたストレイテナーの「Ark」(「Nexus」に収録)などもそうですが、それまで自分の中で逆転していた表拍と裏拍が上手く修正出来た瞬間に、一種の快感を覚えます。

歌詞は、痛みから目を背けずに向き合うことで強くなる姿が、群れからはぐれた鳥の目線に託して歌われています。ポジティブで力強いメッセージが印象的です。

MARCH

アルバムのラストを飾るにふさわしい壮大なロックバラードです。この曲も「CLARITY」同様、一曲を通して緩やかに盛り上がる曲になっています。「CLARITY」と違い、分かりやすいメロサビこそあるものの、サビで無理矢理盛り上げるようなわざとらしさがないため、演奏時間こそ長いですが、最後まで飽きずに聴けます。

特にラストの物悲しいピアノフレーズとシューゲイザーライクの轟音ギターが絡み合う音像は鳥肌ものです。また、歌詞も抽象的ながら核心をついたことを歌っていて、はっとさせられます。

自分のことを受け入れて愛してくれる人といるときに、私たちは自分らしくいることができます。しかし本当は、自分の在り方は自分自身が決めるもので、愛してくれる人に自分の価値を委ねたり依存したりしていると、それこそ本当の自分を見失ってしまいます。

逆に、相手がいてもいなくても、自分で自分の在り方を受け入れている人は、何があっても揺るがずに歩いて行けます。このような力強いメッセージソングでアルバムが終わるので、一通り聴き終わった後に「よし!明日からまた頑張ろう」という気持ちになります。