こんにちは、Monosiri編集部です。
今回は T-SQUARE 好きの私が T-SQUARE の中でもこれは名曲だ!と思えるような曲を20曲厳選してみました。
私が名曲に選んだのは以下の20曲です。
- TEXAS KID
- 脚線美の誘惑
- SABANA HOTEL
- ALL ABOUT YOU
- NIGHT DREAMER
- OMENS OF LOVE
- FORGOTTEN SAGA
- TAKARAJIMA
- TRUTH
- Twilight In Upper West
- DANS SA CHAMBLE
- EL MIRAGE
- MEGALITH
- TRIUMPH
- 勇者(YUH-JA)
- KNIGHT’S SONG
- Rondo
- Islet Beauty
- The Bird Of Wonder
- Through The Thunderhead
それではそれぞれの曲について紹介していきますね。
TEXAS KID
1979年リリース、3枚目のアルバム「Make Me A Star」の最後に収録された、初期スクェアを代表する曲です。何とも楽しいカントリーミュージックのテイストを匂わせる曲調は、現在のスクェアのカラーとは一味違います。
おどけたメロディーやパーカッションの面白さは、スクェアを知らない人でも一度聴いたらその魅力に引きこまれてしまうかもしれません。1978年のデビュー以来、今でも演奏され続けており、アニバーサリーコンサートなど出演者が多い時は定番になっています。
中間部にはピアニスト泣かせの見せ場がありますが、全体としてはテクニックを披露するというより、音遊びするように、音で会話しながら、わちゃわちゃとみんなで楽しく演奏する感じです。
脚線美の誘惑
「脚線美の誘惑」(1982年)のタイトルチューン。冒頭、印象的なキメから始まります。サックスとギターのユニゾンで奏でられるメロディーは、スクェアの伝統的な演奏スタイルをしっかりと表しています。
セッション的な曲ではありませんが、長いソロ尺を作りやすいためか、今日でもライブで取り上げられることが多いです。メロディーを構成する音がシンプルなのに対し、コード進行やその展開の仕方が素晴らしいです。
あえて音をぶつけて洒落た響きを作り出しているのですが、それが違和感なく自然に聞こえてきます。このぶつかり具合が、曲の魅惑的な雰囲気を醸し出しているようです。安藤正容の作曲センスが光っています。都会のおしゃれな、大人の女性を想像して聴いてみてください。
SABANA HOTEL
スクェアには珍しい、シャッフルビートの曲です。テンポもさほど速くなく、ゆったりとくつろいで聴いていられます。
夏のビーチでリゾート気分、ギターの音色がまさにぴったり。サックスとの掛け合いやサビのユニゾンは絶妙なバランスです。フュージョンバンドではあるけれど歌えるメロディーを大事にする、というスクェアの信念を感じます。
この曲が収められているアルバム「うち水にRainbow」(1983年)は、バックバンド等で関わりがあった松任谷由実がアルバム・コーディネーターとして参加しており、インスト作品でありながら全体に歌の要素が色濃く反映されていると言われています。カバーコレクションアルバム「夢曲(ゆめのうた)」(2011年)に現在のメンバーでリメイクした演奏が収録されました。
ALL ABOUT YOU
スクェアが世間一般に広く知られるきっかけとなった名盤「ADVENTURES」(1984年)の中の1曲です。同収録の「TRAVELERS」と共にサントリーホワイトのCMソングに起用されました。
そのCMにフロントマン伊東たけしが出演したことから、スクェアの名前もお茶の間に広まっていったそうです。ジャズやフュージョンバンドよりもポップインストルメンタルバンドという路線が合うようになっていったのもこの頃です。
爽やかでエネルギッシュで明るい、キャッチーなメロディー。シンコペーションを多用していますが、とても覚えやすいです。直訳すると「君のすべて」という通り、曲全体は8ビートロックで直球を投げたような潔さを感じます。サビ前のキメは、裏拍でビシッと揃うところがミソです。
NIGHT DREAMER
こちらも「ADVENTURES」に収録されています。ALL ABOUT YOU とTRAVELERSの2曲がよく知られているためか、隠れた名曲といった存在です。マイナー調でピアノがメインという、スクェアではほとんどない演奏スタイルです。
大人びた、洗練されたカッコいい鍵盤さばきに魅了されます。当時のキーボーディスト和泉宏隆の作曲かと思いきや、実は安藤作。
本当はサックスで演奏するはずだったのが、レコーディング当日に伊東が遅刻してしまい、代わりに和泉がピアノでやったところ、ウケが良く、そのままピアノメインになったという経緯があります。
結果的に、それが曲の魅力を引き出したということでしょう。とにかくオシャレ。バンドを従えて、こんなに弾きこなせたらすごいなあと思うくらい、鍵盤奏者には憧れの1曲です。
OMENS OF LOVE
スクェアは知らなくても、この曲なら知っているという人も多いでしょう。吹奏楽やエレクトーンのアレンジが定番になっていますね。そちらも有名なのでカバー曲をオリジナルだと勘違いしている人もいるようですが、こちらが本家。
ストレートなメロディーとスピード感溢れるリズム、シンプルでわかりやすい曲調。長く愛され、誰でも楽しめる曲としての大事な要素がたくさん詰まっています。
スクェア史上1位2位に入る人気曲は今でもライブで演奏され続けており、特にアンコールでは観客の盛り上がりを高める重要な役割を果たしています。
サビでメンバーと一緒に飛ぶ「OMENジャンプ」はファンの喜びのひとつです。初めて海外のスタジオで録音されたアルバム「R・E・S・O・R・T」(1985年)に収録。
FORGOTTEN SAGA
「R・E・S・O・R・T」ラストに収録されたバラードナンバー。ポップインストの印象が強いスクェアですが、こうしたバラードも外せない名曲です。それは、やはりメロディーセンスと説得力のある音色があるからでしょう。
この曲は伊東のサックスと和泉のピアノなしには成立しないといってもいいくらいです。泣かせるサックス、透き通った優しいピアノ。胸に熱いものがこみ上げてくるのを感じられるでしょう。音で心を動かせる力を持った偉大な1曲。
様々な経験をしてきて大人になったとき、ぜひ聴いてもらいたいです。大阪で行われた35周年アニバーサリーコンサートDVDに、オリジナルリリース当時のメンバーで演奏した貴重な映像が収録されています。
TAKARAJIMA
OMENS OF LOVEと並ぶ人気曲です。1986年「S・P・O・R・T・S」収録。16ビートミディアムテンポの軽めのリズムに、ポップで夢のあるメロディー。いつ聴いてもワクワクした気持ちにさせてくれます。
オリジナル当時はリリコン(Lyricon)というアナログシンセサイザーを用いた電子吹奏楽器が使われていました。現在はウィンドシンセサイザーのひとつEWI(イーウィー)で演奏されます。
2拍ごとに次々とコード進行が変わっていく中で展開されるピアノソロは、とてもテクニカルかつメロディアス。自然な流れがあり、アドリブ作りの勉強になります。一本調子ではなく、うねりを感じさせる巧みなドラミングも聴きごたえあり。この曲も吹奏楽版が存在しますが、原曲とは違うサンバリズムのアレンジです。
TRUTH
数多くあるスクェアの楽曲の中で、最もよく知られているものです。フジテレビ「F1グランプリ」のテーマ曲として、1987~1998年の11年間に渡り、オリジナルを始めアレンジバージョンが使われてきました。
日本においてはF1の曲=TRUTHというイメージが定着しているくらいですね。イントロ6小節の刺激的なフレーズとキメが、疾走する世界へ引きこみます。8ビートロックのリズムと高揚感溢れるメロディー、ギンギンのエレキギター。勝負の瞬間を描くのにふさわしい、熱い音楽です。
心も体も熱く燃え上がらせるパワーを持った曲は、後にも先にもスクェアの代名詞となり、ファンにとっても欠かせない名曲となりました。これがなければコンサートは終わらない、アンコールの定番です。
Twilight In Upper West
夕暮れ時の空が目の前に広がるような、スケールの大きいメロディアスなバラードです。イントロのピアノからその世界観が始まっています。どっしりと佇む大地とセピア色の風景。情熱的に歌い上げるサックスとのコラボレーションがとても美しいです。
曲の構成としては素朴ですが、伊東が吹くストレートで時にしゃがれる音が良い味を添えています。対して、ピアノソロもこれ以上ないというくらい、ピアニスティックで歌心を持ったフレーズで語りかけてきます。
和泉のセンス溢れる作曲能力と伊東のサックスがあってこそ生まれた、優しさと哀愁を兼ね備えた一級品と言えるでしょう。前出のTRUTHと同じアルバムに収録され、1980年代後半、スクェアの全盛期を彩る名作となりました。
DANS SA CHAMBLE
ダン・サ・チャンブレ、フランス語で「彼女の部屋で」という意味です。おしゃれなタイトルがついたこちらの曲、前出のSABANA HOTEL同様、シャッフルビートのウキウキするような曲です。
シンセエレピで始まる爽やかなナンバー。サックスがメロディーをとり、心地よいギターのバッキングが続きます。派手さはないものの、ブラスセクションやストリングスラインを効果的に使って彩りを添えています。
エンディングのピアノソロは、ライブやCDで演奏者によって様々なバージョンが楽しめます。ちょっと気分転換したいときに聴きたくなる、リラックスできるテンポ感が自然と体をのせてくれます。
T-SQUAREに改名する前、THE SQUARE名義でのラストアルバム「YES,NO.」(1988年)と、リメイク版「宝曲(たからのうた)」(2010年)に収録されています。
EL MIRAGE
軽快な16ビートポップで爽やかに走り抜けていく気持ちのいいナンバー。OMENS OF LOVEやTAKARAJIMAに次ぐ和泉宏隆の代表作です。テーマは大きなフレーズと第5音上のオンベーススラップが微妙な揺らぎを、サビは短い音型の連続と下行ベースで生き生きとした動きを、それぞれ見事に表現しています。
構成的に見れば、メロディーもコード進行もわかりやすくシンプルなものです。それでいて、明るさや華やかさがストレートに伝わってくるところに作曲センスを感じます。
パーカッションとブラスセクションでメリハリを出し、EWIメロディ~流れるような美しいピアノソロ~再びEWIで盛り上げる、というドラマチックな展開は、聴くものを熱くさせます。蜃気楼が立ち上る暑い夏の風景を思い出しながらリズムに乗ってみると、きっと楽しくなることでしょう。
MEGALITH
スクェアの顔としてフロントに立ち続けていた伊東たけしが電撃脱退し、代わりに加入したのが本田雅人。その鮮烈なデビューを飾ったアルバム「NEW-S」(1991年)の第1曲目です。
卓越した技術とビックバンドさながらのアレンジ力を武器に、それまでのスクェアにはなかった新しい要素を吹き込みました。「MEGALITHショック」と言われるくらい、当時のファンの間では、今までにないスクェアの革新的なサウンドに度肝を抜かれたといいます。
ポップインストルメンタルバンドのイメージを一気に覆すものでした。決してメロディアスな曲ではありませんが、フレーズからリズム、アレンジまで、とにかくテクニカル一色。
都会的でアグレッシブな本田のプレイは正にハイパーサックスプレイヤー。世にその存在を知らしめることになった曲は、後に発表されるBAD MOONと併せて、彼の代名詞になっています。
TRIUMPH
20枚目の節目となったアルバム「Welcome to the Rose Garden」(1995年)の第1曲目。勝利、大成功という意味のトライアンフ、タイトルの通り明るい8ビートの王道のような曲調です。
テーマは爽やかポップなEWIメロディー、アドリブはフロントマン本田のテクニックが炸裂しています。前向きに明るく頑張っていこう、この曲を聴いて元気になれたら一歩前に踏み出せそう、そんな感じがします。
どこか応援歌のようにも聞こえます。すべてロンドンでレコーディングが行われ、このTRIUMPHを含め、全9曲のうち実に6曲がEWIメロディーという特徴を持つアルバム。ヨーロッパ仕込みのファンタジックな世界が広がってきます。緑の葉いっぱいの、目を引く素敵なジャケットが扉を開いてお出迎えしてくれます。
勇者(YUH-JA)
1996年「B.C.A.D.(Before Christ & Anno Domini )」は1つのアルバムとしては、その製作過程がとても豪華です。レコーディングはイタリア、ミキシングはロサンゼルス、そしてジャケット撮影がエジプト、と世界にまたがっています。
また、初めてメンバー全員が楽曲提供をしているもの特徴です。1曲目の「勇者」はドラマー則竹裕之作曲。頑張って生きる人たちに送るつもりで書いたという曲は、スチールドラムで始まる独特な雰囲気を持っています。
曲を構成する素材はシンプルですが、ドラマーならではの冴えたリズムアプローチが効果的です。通常、弱拍で叩くスネアを強拍に持ってきてバッキングパターンを強調。さらに、全体のノリに軽さを生み出しています。音楽は生き物だと感じられる作品です。
KNIGHT’S SONG
ドライビングシミュレーターゲームソフト、グランツーリスモのテーマ曲「MOON OVER THE CASTLE」のスクェアアレンジ版です。安藤がこのゲームソフトの音楽を手掛けており、1997年「BLUE IN RED」に収められました。
スピード感溢れるハードロック調で、ポップなスクェアのイメージは全くありません。いい意味でスクェアらしさに捉われない音楽にチャレンジしています。ピアノコンチェルト風のサビでゆったりと始まり、意を決したようにギターとベースがロックの世界へ一気に引きこみます。
ハモンドオルガンや激しい回転を想像させるEWIソロが効果的です。エンディングに冒頭と同じコンチェルト風でサビを奏でて音楽をまとめています。ロックとオーケストラの対比する構成が印象的です。
Rondo
キラキラした音で駆け抜けるピアノソロが流れてくると、何かが始まる予感がします。33枚目のアルバム「33」(2007年)オープナーを飾るこの曲は、とてもキャッチーなメロディーとポップなスタイルで、現スクェアを象徴するサウンドが最大の魅力。
OMENS OF LOVEがTHE SQUARE時代の名曲ならば、こちらは現代T-SQUAREの真骨頂とも言えるでしょう。作曲したキーボード河野啓三のスクェア愛を感じます。音数、バッキング、ドラムパターン、全てにおいて凝ったアレンジになっていながら、なぜかストレートに伝わってきます。
聞き手が受け取るメッセージの中に、名曲になり得る要素があるのかもしれません。現メンバーでの音楽的方向性がほぼ固まり、それを形で残した、これからも愛され続ける1曲になるでしょう。
Islet Beauty
デビュー30周年記念アルバム「Wonderful Days」(2008年)に収録。30年の時を経て、初めて伊東たけしの曲がトップを飾りました。日本マクドナルド「プレミアムローストアイスコーヒー」のタイアップ曲に使われ、現メンバー全員がCMに出演しました。
あの「パラッパッパッパー」のフレーズ、耳なじみがある方もいるでしょう。ラテン調のミディアムテンポで、口笛吹いて踊るような軽いイメージの曲。覚えやすいメロディーですが、細かいリズムの組み合わせで構成されており、メリハリを持たせて生き生きと演奏するにはかなり難しいと思います。
それを、さりげなくサックスで吹いている伊東の隠れたテクニックも見えてきます。自身のソロ活動メロウ・マッドネス・セプテットでは十八番になっています。
The Bird Of Wonder
「不死鳥」そのタイトルがぴったり合う、希望と勇気に満ち溢れた曲です。2012年のアルバム「Wings」を象徴する存在となっています。翼を広げて大空へ高く舞い上がる姿、まさに飛翔です。
冒頭、ギターとEWIのユニゾンで力強く高らかにサビを歌い上げます。テーマは8ビート王道スクェアそのもの。歌えるメロディーであるところは作曲者坂東慧のセンスが光ります。後半にあるギターソロは定型フレーズで、坂東自身が実際にギターを弾いて、安藤の音が生きるように考えたといいます。
もう、この音以外にないというくらい絶品です。空の彼方へ、再び飛び立っていった不死鳥の後ろ姿を見届けるように、シンセとストリングスが大きく包み込んで曲を締めます。顔を上げて、上を向いて、自然と気持ちも元気になれます。
Through The Thunderhead
夏をテーマに掲げて作られたコンセプトアルバム「Paradise」(2015年)の第4曲目。一直線に駆け抜けていく、気持ちのいいナンバーです。ギラギラした太陽、まぶしい光、熱い空気、青空にドンと浮かぶ入道雲。夏真っ盛りをそのまま表現したような曲です。
スピード感と、シャープでキレのあるブラスホーンズ。気分が高揚するのは必至です。打ち込みやシンセを駆使した、河野の練りに練ったアレンジセンスと能力の賜物でしょう。
音の厚みと、それに負けず劣らずメンバーの息の合ったプレイ、テクニックを堪能できます。走り出したら止まらない、止められない勢いを感じます。現メンバーだからこそ奏でられる「今」のスクェアの形をストレートに受け止めてみてください。